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インタビューとは?

インタビュー』(いんたびゅー、Interview、Entretien)とは、研究活動において、特定のテーマや問題について情報を収集するために、研究者が対象者に対して直接質問を行う方法を指します。インタビューは、定量的データでは捉えきれない、個人の深い意見や経験、感情を明らかにするために、質的研究で広く使用されます。形式や目的に応じて、インタビューは構造化、半構造化、非構造化の3つのタイプに分けられます。

インタビューの歴史と由来

インタビューの概念は、20世紀初頭に社会科学や心理学の分野で発展しました。当初は、心理学者や社会学者が個人の行動や思考を理解するための手法としてインタビューを使用していました。特に、心理学者ジークムント・フロイトが行った精神分析における自由連想法は、インタビュー手法の一形態として見ることができます。

「インタビュー」という言葉は、フランス語の「entrevue」(面談、会談)に由来し、英語では「Interview」として広く使用されています。社会科学におけるインタビューの重要性は、時代とともに増し、特に質的研究の手法として定着しました。これにより、個人の経験や感情に対する深い理解が得られるようになり、学術的な研究において欠かせない手法となっています。

インタビューの種類とプロセス

インタビューには大きく3つの種類があります:

構造化インタビュー: 質問内容と順序があらかじめ決められており、すべての対象者に対して同じ質問が同じ順序で行われます。この方法はデータの比較や分析を容易にし、信頼性の高い結果を得るために用いられます。

半構造化インタビュー: 主要な質問は設定されていますが、インタビュアーが状況に応じて追加の質問を行ったり、順序を変更したりすることができます。これにより、対象者の自由な意見や深い洞察を引き出すことができます。

非構造化インタビュー: 質問内容や順序はほとんど決められておらず、インタビュアーが対象者の話に基づいて即興的に質問を行います。この形式は、対象者の自然な反応や深い感情を探るために適しています。

インタビューのプロセスには、以下のステップが含まれます:

1. 目的の設定: インタビューの目的を明確にし、収集したい情報の種類を決定します。

2. 質問の作成: インタビューのタイプに応じて、質問を作成します。質問は明確で、対象者が答えやすいように構成されるべきです。

3. 対象者の選定: 研究の目的に適した対象者を選び、インタビューを依頼します。

4. インタビューの実施: インタビューを実施し、対象者の回答を記録します。必要に応じて、質問を追加したり、深掘りしたりすることが求められます。

5. データの分析: 収集したデータを分析し、テーマやパターンを見つけ出します。質的データの分析には、コード化やテーマ分析がよく用いられます。

インタビューの現在の使われ方

インタビューは、社会科学や人文科学をはじめ、教育学、マーケティング、医療分野など、幅広い分野で使用されています。たとえば、社会学では、人々の生活経験や社会的問題に関する深い理解を得るためにインタビューが行われます。また、教育現場では、教師や生徒の教育経験や意見を収集し、教育改善に役立てるためにインタビューが行われます。

さらに、マーケティング分野では、消費者のニーズや行動を理解するための手段として、インタビューが広く活用されています。消費者の深層心理や購買動機を探るために、半構造化インタビューが特に効果的です。また、医療分野では、患者のケア経験や医療サービスに対する満足度を評価するためにインタビューが行われています。

インタビューの将来展望

今後、インタビューは、デジタル技術の進展とともにさらに進化するでしょう。オンラインインタビューの普及により、地理的な制約を超えて広範な対象者からデータを収集できるようになっています。また、音声認識技術やAIの進歩により、インタビューの記録と分析がより効率的に行われるようになるでしょう。

さらに、インタビューの手法は、質的データの自動分析や感情分析の技術と組み合わせることで、より深い洞察が得られる可能性があります。これにより、研究者は対象者の微妙な感情や無意識の反応を捉え、従来の方法では得られなかった新しい知見を引き出すことができるでしょう。

結論として、インタビューは研究活動における重要な手法であり、個人の経験や意見を深く理解するために不可欠です。今後も、この手法が研究の質を高め、より多くの分野で応用されることが期待されます。



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